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    若林正恭『ナナメの夕暮れ』の感想。精神安定剤のような名著

    この記事は、
    オードリー・若林正恭のエッセイ集『ナナメの夕暮れ』の感想記事です。

     

    [chat face=”man1″ name=”Aさん” align=”left” border=”blue” bg=”blue”]『ナナメの夕暮れ』気になるなー[/chat]

     

    [chat face=”woman1″ name=”Bさん” align=”right” border=”red” bg=”red”]芸人のエッセイってどんなもんよ[/chat]

     

    といった人に向けてこの記事を書いていこうと思いますが、
    先に結論を書いておきます。

    『ナナメの夕暮れ』は、
    世の中が”生き辛い”と感じている人にとっての精神安定剤のような本です。

     

    僕は、

     

    「なんだか分からないけどなんとなく疲れた」

     

    と感じた時、
    定期的に『ナナメの夕暮れ』を読みます。もう4〜5回は読んでるかな。

    若林の文章には、
    疲れていてもスーッと入ってくるような不思議な魅力があります。
    「エッセイだから読みやすい」というのは大いにあるかもしれないですが、
    とにかくスラスラ読める。

    そして読み終える頃にはなんとなーく心が軽くなっています。
    まさに精神安定剤。個人的にこの本とはこれからも長い付き合いになると思っています。

     

    昔はオードリー若林のイメージといえば「The・人見知り」でした。

    「人見知り芸人」なんて括りでアメトークにも出ていたし、
    圧倒的強キャラの春日の影に隠れる典型的「じゃない方芸人」のイメージでした。

    それがいつからか顔立ちが明るくなり、1人でMCをやり始め、お昼の番組で原宿のカフェに行ったりしています。

    しかもそれを無理してやっている感じがしません。

    何かが彼の中で圧倒的に変わったように見えます。
    それは「成長」ではないし、かといって「諦め」でもない。

    この本を読めば、
    彼が何をどう考えてどうなったのか、とてもよく分かると思います。

    目次

    『ナナメの夕暮れ』はどんな本か


    『ナナメの夕暮れ』は、
    世の中が”生き辛い”と感じる全ての人に読んで欲しいまさに精神安定剤のような本。

    2015年から2018年まで雑誌『ダ・ヴィンチ』で連載されていたエッセイと、
    書籍化に伴って新たに書き下ろされた内容とで構成されています。

    内容をあえて簡単に説明するならば、
    「自意識と自己顕示欲」に振り回されてきた若林が、これまで感じてきた”生き辛さ”からいかにして解放されたかを語るエッセイ集です。

    「自意識と自己顕示欲」

    この本の大きなテーマは「自意識と自己顕示欲」です。

    文中にもありますが、
    ここでいう「自意識」とは簡単に言うと「スタバで恥ずかしくて”グランデ”と言えないような感情」のこと。

     

    「L」は言えるが「グランデ」は言えない。
    自意識過剰である。
    自意識過剰なことに対して、「誰も見てないよ」と言う人がいるがそんなことは百も承知だ。
    誰も見ていないのは知っているけど、自分が見ているのだ、と書いた。
    ”自分が見ている”というのはどういうことかと言うと、「グランデとか言って気取っている自分が嫌だ」ということだ。

    『ナナメの夕暮れ』p146より引用

     

    若林はこれまでずっとこのような自意識に振り回されてきた人生だったそう。
    ハロウィンの仮装・バーベキュー・海外旅行・サークルに入ること・告白すること、
    どれもこれも”みっともない”と否定し続けて生きてきました。

    そうするとどうなったか。
    何をするにも”他人の目からは自分はどう映っているんだろう?”と気になって夢中になれなくなりました。そしてどんどん生き辛くなったのだそう。

     

    誰かに”みっともない”と思われることが、怖くて仕方がないのである。
    そうなると、自分の好きなことも、他人の目が気になっておもいっきり楽しむことができなくなってしまう。
    それが行き着く先は「あれ?生きてても全然楽しくない」である。

    『ナナメの夕暮れ』p148より引用

     

    「ナナメの夕暮れ」とは

    タイトルにある「ナナメの夕暮れ」という言葉は文中には出てきません。

    「ナナメ」という言葉は、
    p146「ナナメの殺し方」という章に一度だけ登場します。

    この本における「ナナメ」とは”斜に構えて見る”こと。
    ハロウィンの仮装・バーベキュー・サークル活動のような事をする人たちを斜に構えて”みっともない”と思うことです。

    そして「夕暮れ」とは”終わる”ことを指していて、
    「ナナメの夕暮れ」は”斜に構えて見ることが終わる”

    つまり、若林が”何事も斜に構えて見るという生き方をやめた”という意味になります。

    p146「ナナメの殺し方」には、
    ”斜に構えて世の中を見てきた自分”を殺す方法が書かれています。しかもかなり具体的です。

    若林がそれを実践したことで、
    彼の中の”本当に好きなこと”が精査され、他人の視線が気にならず、生きるのがすごく楽になった様子が見て取れます。

     

    自分の生き辛さの原因のほとんどが、他人の否定的な視線への恐怖だった。
    その視線を殺すには、まず自分が”他人への否定的な目線”をやめるしかない。
    グランデと言う人を否定するのをやめえれば、自分がグランデと言っても否定してくる人がこの世界からなくなる。
    否定してくる人がいない世界なら、朝気持ちよく起きることも全然可能なのだ。

    『ナナメの夕暮れ』p157より引用

     

    『ナナメの夕暮れ』感想

    この本は読めば読むほど、
    「あー分かる分かる」の連続です。

    それも、
    世の中に対して負の感情を持っている人ほど共感すると思います。

    若林は長年、
    自分の中の負の感情の原因を探ってきました。

     

    なぜクラスで自分だけが注射が怖くて打てないのかわからない。
    なぜ制服の第一ボタンをしめなければいけないのかわからない。
    なぜ失恋を6年も引きずってしまうのかわからない。
    なぜ飲み会がこんなにも苦痛なのかわからない。
    なぜ異性に話しかけられないのかわからない。
    なぜ上司にお酌をしなければいけないのかわからない。
    なぜこんなにも毎日頭が痛くなるのわからない。
    なぜ誰かに言われた何気無い一言に、何日も四六時中苦しみ続けなければいけないのかわからない。

    『ナナメの夕暮れ』p208より引用

     

     

    何年も何年も考えをめぐらせ続けて、年をとって、女優と付き合って、
    親しい先輩の死や、父親の死なんかも経験して最後にはひとつの答えに辿り着きます。

    文中に、
    「生き方上手」と「生き方音痴」という言葉が出てきます。

    若林が辿り着いた答えは、
    「生き方上手」にとっては「当たり前じゃん」と思われることかもしれません。
    でも「生き方音痴」は凄く遠回りしないと辿り着けない答え。

     

    あー分かる。よく分かる。

     

    この本は、
    「ここまで内面を曝け出してもいいのか」と思うほどに若林正恭という人間のことが本当によく分かります。

    と同時にテレビの第一線で活躍しているような人がここまで世の中に対して”生き辛さ”を感じていたのか、とも思わされます。

     

    本当に分かる。この本は共感の連続です。

     

    オススメはp146〜「ナナメの殺し方」とp204〜の「あとがき」です。

     

    おわりに

    冒頭でも書きましたが『ナナメの夕暮れ』は、
    「世の中が生き辛い」と感じている人ほど共感できる精神安定剤のような本だと思います。

    会ったこともないし、住んでいる世界も全然違う”オードリー・若林正恭”という人間が、
    なんだかすごく近く感じるし、何より自分ももっと頑張ろうと思える、そんな本です。

    最後に、
    ネットでの『ナナメの夕暮れ』の評判も載せておきますね。

     

     

     

     

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    この記事を書いた人

    ねここしゃん@坂道ブロガーのアバター ねここしゃん@坂道ブロガー 坂道アイドルブロガー

    坂道アイドルの魅力と賢いオタク活動の方法を教える人。自称・日本一の坂道アイドルブロガー。推しメンは日向坂46の金村美玖さん。

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